広がる音声コンテンツ市場
「急成長するコンテンツPodcastとは#1」では音声コンテンツのユーザー数が爆発的に伸びているということについて紹介しました。では、ビジネスとしての可能性はどうでしょうか。一般の人が誰でも簡単に配信できるという側面から、Podcastは当初マネタイズをすることが難しいという考えが一般的でした。
しかし、米国を筆頭にPodcastのビジネスにおける可能性が見直されてきています。本記事ではPodcastのビジネス上の可能性について紹介します。
盛り上がる米国デジタル音声市場
Podcastを含む音声メディアの広告収益は米国で爆発的に増加しています。2016年時点では11億ドルだった広告収益が2019年には27.2億ドルを突破しました。3年間で2.5倍増えたということになります。この背景には、ワイヤレスイヤホンやスマートスピーカーなどのデバイスが登場したこと、それに伴い音声メディアを聴く場面が変わり、地上波ラジオのリスナーがデジタル音声メディアを聴くようになったことが挙げられます。
車内では依然として地上波ラジオを聴いている人が最も多い割合となっていますが、少しずつPodcastやストリーミングの音楽などに移行していることが分かっています。
Podcast広告の媒体収益
音声メディアの中でPodcastが市場成長を牽引しており、2017年に31,390万ドル(333億円)だったPodcastの広告収入は2020年には8.12億ドル(856億円)を記録し、2021年は13億ドル(1486億円)に至る、2023年には20億ドル(2286億円)を超えると見込まれています。
2019年から2020年はコロナ禍で多くのビジネスが深刻な打撃を受けた中、Podcast市場は予測を上回る前年比48%の成長を遂げました。
日本のデジタル音声市場
日本のデジタル音声広告市場も成長を続けています。調査会社のデジタルインファクト社が出している市場規模予測によると、2019年には7億円であったデジタル広告収入が2025年には420億円になるとのことです。背景には、SpotifyやYouTube Music、Amazon Musicなどプラットフォームの登場により音声メディアの広告モデルができたこと、在宅勤務の増加からながら聴きをしていう人が増えていることなどが挙げられます。
配信者のマネタイズモデル
最後に広告以外のマネタイズ法を紹介します。配信者がリスナーをコミュニティとして集め、クラウドファンディング形式で課金してもらう手法です。
米国のクラウドファンディングプラットフォームである「Patreon」に、Podcast配信者のためのページがあります。このプラットフォームでは、配信者が限定コンテンツや会員向けイベントなどを行う代わりに、メンバーが毎月課金するというシステムを採用しています。政治系のPodcast『Chapo Trap House』、犯罪をテーマにしたPodcast『True Crime Obsessed』では35,000人以上のメンバーが在籍しており、月間約1,500万円以上の収益を達成しています。
日本ではこのような事例はあまり多くはありませんが、常にランキング上位に位置する英会話Podcast「バイリンガルニュース」は2014年に公式アプリを立ち上げ、月額240円でエピソードの文字起こしや配信者のコラムを提供しています。そのほかにもLINEのオリジナルスタンプやグッズの販売を行なっており、マネタイズに成功している例だと言えます。
また、無料配信のエピソードとは別に有料版のエピソードを収録し、アプリやWebサイトを通して販売している番組も存在しています。
まとめ
このように米国を筆頭に音声メディア市場は急激な成長を見せています。日本でもスピナーのような制作会社が活躍し始めており、質の高いコンテンツを作っています。企業が抱える番組も増えてきており、質・人気ともにますます成長が見込まれます。