生活の隙間時間に楽しめる音声メディア

米国を中心に近年ますますリスナー数が増えている音声メディア、Podcast「ポッドキャスト」。本記事ではこの急成長する音声メディアの現状について紹介します。

ポッドキャストとは?

PodcastはWebサイトやスマートフォンアプリで聴くことができる音声コンテンツです。電波で定期的にエピソードを配信するラジオとは違い、好きなタイミングで好きなエピソードを聴くことができます。ダウンロードができるのでオフラインでも聴くことができますし、反対にオンライン上でも再生できるのでケータイやPCの容量を気にしなくても大丈夫です。

ポッドキャストが人気の理由

Podcastが人気になった理由の1つには生活の隙間時間で「ながら聴き」ができるという点があります。動画コンテンツでは「映像」と「音声」の両方が流れるために、動画視聴以外に何かをすることは難しいと言えます。しかし、日常生活の中で「耳が空いている」時間というのは結構あるものです。掃除中、調理中、移動中、運動中などさまざまな場面で音声を楽しむことができます。

2019年9月に英国の放送局BBCが2400人の被験者に対して行った調査によると、リスナーの94%が「ながら聴き」でPodcastを聴いていることが分かりました。農業やデザイン系の仕事など作業中に耳が空いている職業もあり、仕事中にPodcastを楽しむ人も多くいます。

音声メディアをめぐる米国の現状

米国のリスナー数

2019年に米国で行われた調査結果によると、「Podcastを聴いたことがある」と回答した層は1億4,400万人相当であり、「月間でPodcastを聴いている」と回答した層は9,000万人相当いました。「Podcastを聴いたことがある」層は12歳以上の人口の51%にあたり、「月間でPodcastを聴いている」層は32%にあたります。非常に多くの人がPodcastを聴いているということが分かります。

2020年10月の発表によると、Apple Podcastには100を超える言語で175の国と地域で100万以上の番組を聴くことができます。また、Podcast作品がさまざまな賞の対象にもなってきており、2020年からピューリッツァー賞に「Audio Reporting(音声報道)」部門が新設されました。2020年初のAudio Reporting部門を受賞したのは25年続く番組であり、日本でも人気のある「This American Life」と「the Out Crowd」のエピソードでした。

日本国内の音声メディアと音楽配信サービスの現状

国内最大の音声メディア「radiko」

日本国内の最大音声メディアは「radiko(ラジコ)」というインターネットラジオサービスです。電波で配信されるラジオをインターネットの回線を利用して聴くことができます。Radikoのユーザー数は増加しつづけており、2018年には700万人、2020年4月には900万人を突破しました。Google HomeやAlexaなどのスマートスピーカーの普及、コロナ禍による在宅勤務の増加が、ユーザー数拡大に影響しているようです。

音楽配信サービスの増加

日本国内で人気のある音声サービスとして、音楽配信サービスが挙げられます。SpotifyやAmazon Musicが特に人気ですが、これらのプラットフォームでもPodcastが聴けるようになりました。日本人の5人に1人は定額制音楽配信サービスを利用して音楽を聞いており、これらのプラットフォームでPodcastを聴けるようになったことから、今後ますますPodcastリスナーが増えていくことが予想されます。

書籍音声メディア

その他人気が高まっているメディアとして、オーディオブックが挙げられます。これは書籍を音声で楽しむことができるコンテンツで、Amazonの「Audible」や日本語オーディオブックサイトの「audiobook.jp」などがコンテンツを提供しています。プロの朗読で書籍を楽しめることができますし、洋書作品の中には俳優が読み上げる作品などもあり英語学習にも役立てることができます。

その他の音声メディア

日本国内ではPodcastの他にも一般ユーザーがコンテンツを作成できるプラットフォームが出てきています。2016年に登場した「Voicy(ボイシー)」が代表例です。Voicyではすでにお笑い芸人や芸能人が番組を始めており、キングコングの西野さん、中田敦彦さん、ジャルジャルの後藤さん、中田さんの奥様である福田萌さん、辺見えみりさん、脳科学者の茂木健一郎さんなど、たくさんの方が参入しています。日本国内でも音声コンテンツに対する認知が広がり、注目を集めていることが分かります。

まとめ

Youtubeなどの動画サービスとは異なり、Podcastは日本において参入のチャンスが多く、これから大きく成長が見込める音声メディアです。次回はビジネスにおけるPodcastの可能性についてご紹介します。