コンテンツマーケティングという言葉を聞いたことがあるでしょうか。現在注目を集めているマーケティングですが、実際にはどういうものなのか知らないという方も多いのではないでしょうか。本記事ではコンテンツマーケティングとは何か、そしてどんな効果が見込めるのかについてご紹介していきます。

どんな手法のマーケティングなのか

従来の手法では、マーケティングは「物を売る」ことにフォーカスしていました。代表的な方法が「売り込み型」のマーケティングである飛び込み営業などの訪問セールスです。例えば新聞の売り込みを想像してみてください。インターネットで自分の好きな新聞購読を気軽に申し込めるこの時代に、わざわざ家に来てくれたセールスマンのために興味のない新聞の購読を始めたいという人は少ないでしょう。そのため、「物を売らない」マーケティング手法であるコンテンツマーケティングに注目が集まっているのです。

古くから存在するコンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは実は昔から使われている手法です。ここではどんなコンテンツマーケティングがあるのかご紹介します。

古くから存在する最も有名なコンテンツマーケティングは仏のタイヤメーカーのミシュラン(Michelin)のものでしょう。1900年に自動車旅行に役立つ地図や自動車設備などの情報を掲載した400ページの「ミシュランガイド」を無料で3万5000部配布しました。これが多くのレストランが掲載されることを望んでやまないミシュランガイドです。自社商品であるタイヤを宣伝するのではなく、自動車旅行を活性化するための快適なカーライフに役立つ情報を発信したのでした。

また、米国のフルーツゼラチンミックスの有名ブランド「JELL-O(ジェロ)」のコンテンツマーケティングについてもご紹介します。この会社も直接商品の宣伝を行うのではなく、自社商品を使うレシピを無料で配布することで売り上げを増加させました。

インバウンドマーケティング

次に、コンテンツマーケティングの考え方について紹介します。従来の飛び込み営業や訪問セールスのことをアウトバウンドマーケティングと呼びます。これに対し、見込み客が自ら商品やサービスを見つけに来てくれるよう促すマーケティングをインバウンドマーケティングと呼びます。

外国に旅行に行くことをアウトバウンドツーリズム、外国人が日本に遊びにくることをインバウンドツーリズムと呼びますが、コンテンツマーケティングというのは外国人(見込み顧客)に日本(自社のサイト)に遊びに来てもらうようなものと言えます。魅力的なコンテンツを作り、自社サイトに遊びに来てもらうことでファンになってもらい、商品やサービスを利用してもらうのです。

B to Bでも広がるコンテンツマーケティング

魅力的なコンテンツを作成して見込み客を獲得すると聞くと、一般の人向け(B to C)向けのマーケティングだと思われる方が多いかもしれません。しかし、コンテンツマーケティングは、企業間取引においても有効です。新しくパートナー企業を探すとき、担当者は様々な情報を集め比較・検討し、上層部に納得の得られる根拠を示して稟議を通します。その過程で企業が公開するコンテンツにも目を通します。その内容が信用に値し、専門知識が豊富で、顧客企業にとって有益な情報を与えられれば、他社と差別化を図ることができ、稟議も通りやすくなります。

B to Bのコンテンツマーケティングの事例として米国企業のイルミナ(Illumina)を紹介します。イルミナは遺伝子解析ツールの開発を手掛けるB to B企業で、アカデミックな研究機関から製薬企業、バイオテクノロジー企業まで多くの顧客を抱え世界でも最先端の研究を行っています。1988年創業の比較的新しい企業ですが、自社のサイトで自社のツールを使用したゲノム解析のデータに加え、学術論文などの豊富な情報を公開し、オンラインセミナーの「ウェビナー(Webinar)」も定期的に開催し、情報発信に努めています。

実践!コンテンツマーケティングの手法

次にコンテンツマーケティングを行えるプラットフォームについて紹介します。導入しやすいものを検討してみてくださいね!

ブログ

ブログの運営には手間とコストがかかりますが、その分強い信頼を勝ち取れるプラットフォームです。AmebaブログやFC2、Webベースのブログサービスは導入や読者獲得は容易ですが、設定の自由度は低くなりますし、何よりそのブログサービスが停止してしまった場合、今まで書き溜めてきたブログも失われてしまう可能性があります。

そこでコンテンツマーケティングに使用するブログにはWordpressのようなブログ用のコンテンツ管理システムを使用することをおすすめします。Wordpressはソースコードが公開されているオープンソースソフトウェアで、世界各国の大勢の開発者がブログをデザインするためのテンプレート(Wordpress上ではテーマと呼ばれる)や、カスタマイズするためのプラグインソフトウェアをインターネット上で公開していて、無料で使用できるものも多くあります。

ソーシャルメディア

次にSNS(ソーシャルメディア)について紹介します。FacebookやTwitterに代表されるSNSは長期的にユーザーとつながり、関係を構築するのに適したツールです。それぞれのメディアごとに特性が異なるため代表的なものを説明します。

Facebook

Facebookは12億人が利用する世界最大のSNSです。Facebookにはビジネスの情報発信で利用できるサービスがあり、そのページに「いいね」をしたユーザーのページに情報を届けることができます。また、Facebookページは複数人で管理することができ、投稿が何人のユーザーに届いたかを分析する「インサイト」という仕組みなども利用できるため、ビジネスでの利用に適していると言えます。

Twitter

Twitterは140文字の文章を投稿(ツイート)できるSNSです。投稿したツイートは自分をフォローしてくれているユーザーのタイムラインに表示されますし、自分も他のアカウントをフォローすることでその人のツイートをタイムラインに表示させることができます。その手軽さから世界中のユーザーに毎日活発に利用されていて、企業の公式アカウントのツイートも話題にのぼることがあります。上記のFacebookが実名で利用するものであるのに対し、Twitterは匿名で自由にアカウントを作成できるという特徴があります。

LINE

LINEは日本国内で約5000万人、世界で5億6000万人のユーザーが登録しているコミュニケーションツールです。チャット形式で気軽にやりとりできますし、スタンプや画像、動画なども送れることから老若男女問わず普及しています。LINEでは企業で利用できるアカウントとして、公式アカウントと「LINE@」があり、前者はエントリープランで1000万円(12週間)かかりますが、後者は無料で利用できます(ただし、LINE@は日本国内に実店舗や施設がある企業のみ)。特に、クーポンの配信での使用が人気です。

ホワイトペーパー/Eブック

ホワイトペーパーは自社の顧客導入事例(ユーザーレポート事例)や商品の仕様、市場環境分析、調査レポートなどを指します。Eブックは商品のスタートガイドや、活用のベストプラクティスをまとめたものです。ブログの記事やコンテンツより詳しい情報や実践的な内容を記載し、ブログ記事の最後にバナーを貼ることで、ブログの内容に興味を持った人がダウンロードできるようにします。これを設置しておくことで、ブログ読者のうち何パーセントが強い興味を持っているのか分析することが可能です。

動画

動画は製作費がかかる上になかなか見てもらえないというイメージがありましたが、最近では安価に動画を作成し、気軽に見てもらえるような環境が整ってきています。

YouTube

世界中で利用されているYouTubeはコンテンツマーケティングにおすすめのプラットフォームです。YouTube内ではチャンネルを作成することで自分が作成した動画を配信することができます。チャンネルがフォローしてもらえると、新しい動画を公開したタイミングで自動的にユーザーに通知がいくようになります。また、動画を作るうえでの様々な素材が用意されているので、動画制作用のソフトがなくても、YouTube上で動画を作成できます。

Instagramビデオ/TikTok

Instagramビデオは15秒の動画、TikTokは15秒~1分程度の短い動画を作成/投稿できるサービスです。時間が短い分、アイディアと構成力の勝負となりますが、その分視聴者は気軽に動画を見てくれます。すでに多くの企業がプロモーションに使用しており、今後さらに活発になることが見込まれます。

オンラインセミナー

米国ではオンラインセミナー(ウェビナー)が活発に行われており、無料の専用ソフトウェアもあります。ZoomやTeamsの機能を使えば、気軽にオンラインセミナーを開催することができます。無料セミナーなどを開催し、潜在顧客を集めることは効果的なマーケティングだと言えます。

Podcast 

Podcastは今注目のメディアと言えます。ラジオのような音声のみのコンテンツですが、Wifi環境でエピソードをダウンロードしてオフラインで聞くことができるので、ラジオと違ってリスナーは自分の好きなタイミングで番組を聞くことができます。芸能人や著名人の番組もありますが、一般の方の番組で人気を博しているものもあります。現在はspotifyやAmazonもポッドキャストの配信に乗り出しているので、リスナーは様々なプラットフォームからポッドキャストをダウンロードできるようになりました。音声のみのメディアであるため動画と比較すると制作費が少なく済みますし、ブログなどの文字のみのメディアと比べて、リスナーに親近感を持ってもらえます。在宅勤務や通勤時間などで耳が空いているときに、podcastを楽しむ人が増えている一方、他のメディアと比較して参入している企業が少ないため、今おすすめのメディアだと言えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。従来の営業方法とは異なるコンテンツマーケティングですが、本記事を通してどのようなものなのか少しでも掴んでいただけていれば幸いです。ぜひ、自社のサービスや商品のプロモーション方法にコンテンツマーケティングの手法を加えてみてくださいね。